|粉門屋仔猫|
善光寺門前にある
天然酵母のパンカフェ

|粉門屋仔猫|<br>善光寺門前にある<br>天然酵母のパンカフェ

長野市の中心市街地北部にある善光寺。
「遠くとも 一度は詣れ善光寺 救い給うぞ 弥陀の誓願」と古来より謳われる、誰もが知るお寺です。
その善光寺から徒歩3分、元ビニール工場の古い蔵を改修したKANEMATSUというシェアオフィスの入り口に、粉門屋仔猫はあります。
天然酵母のパンが人気のパンカフェで、長野駅前にあるイタリア料理店「オステリア・ガット」「ラ・ガッタ」の姉妹店です。

お店を切り盛りする小林千鶴さんは、もともと趣味で10年ほどパンを焼いていましたが、友人に請われ、パン教室をはじめるように。次第に増えた生徒さんたちに、「習うだけではなく、小林さんのつくったパンを食べたい」といわれたことをきかっけに、自分のお店を開くことを考えるようになりました。
経営のことも含めて飲食業で修行をしてからお店を開いた方がよいのではないかと迷っていた矢先、オステリア・ガットオーナー、成澤篤人さんからKANEMATSUでカフェをやらないかと声がかかります。
その場所は、粉門屋仔猫の前に入っていたカフェが雑誌に掲載されていたのを見て「雰囲気があって、かっこいいお店だな」と気になり、一度行ったことのある場所でした。奥のオフィスに出入りする人が、ときに自転車で通り過ぎる、「カフェ兼玄関」と紹介されたこともおもしろかったそう。
縁を感じて、物件を見に行ったその日の夜に、引き受けることを決めました。

蔵を改装した店内。
奥はシェアオフィスになっていて、書店、建築設計事務所、編集プロダクション、会計事務所のほか、NAGANO WINE 応援団の事務局もはいっている
ガラスのショーケースには、定番のフォカッチャやブール、季節限定の食材をつかったパンが10種くらい並ぶ

2013年11月にオープン、今では閉店よりも早くにほとんどのパンが売り切れてしまうこともある人気のパンカフェになりました。開店当初は、パンの種類に合わせて天然酵母や、イースト菌を使い分けていましたが、天然酵母のパンカフェとして口コミが広がったことをきっかけに、お客さんをがっかりさせてはいけないと研究を重ね、全てのパンをレーズンといちじくをあわせた自家製の天然酵母でつくることにしました。
手間暇のかかったパンは、つくるというより育てるという感覚のほうが近い、と小林さん。「ペットだと思って可愛いがっていますが、結局は食べてしまうので家畜ですね」と笑います。
パンが一番美味しく食べられる時間は、だいたいつくってから3時間くらいといわれているそう。できるだけその時間内に食べてもらえるように少しずつ焼き、いつ来ても焼きたてのパンを食べられるようにしています。

自身のことを資格マニアという小林さんは、パンシェルジュ、野菜ソムリエ、コムラードオブチーズ、ワイン検定、調理師免許など、パンに限らずたくさんの資格をもっています。次にチャレンジするのはソムリエ。ワインの香りやペアリング(ワインと料理の相性)の勉強をすることが、パンの材料の組み合わせを考えるときにも役立ちました。

「赤ワインといちじくとチョコレート」のパン。
赤ワインは長野県産のコンコードを使用。相乗効果で、いちじくやチョコレートの味も濃く感じる逸品
地元野菜をふんだんに使ったスープとパルマ産生ハムと野菜サラダに、好きなパンを2種類選べるランチセット880円〜

例えば、季節限定で提供した「ほおずきとクリームチーズ」のパンは、ほおずきからバターの香りを感じたので乳製品と絶対に合うと思い、クリームチーズと組み合わせたそう。その味は評判となり、ショーケースに並べると、すぐに売り切れるほどでした。

ラ・ガッタでスーシェフをしている夫の小林弘幸さんと勉強のために、フレンチレストランへ行くことが多い小林さん。ペアリングセットを出している飲食店が増えてきたように感じています。
「パンでもペアリングをしているお店があるんです。パンとワインのペアリングや、パンとお料理とワインの三位一体を提案するお店。パンの世界も奥深いものがあります」と、パンの可能性に期待しています。

オーナーの成澤さんが2018年の夏に、坂城町にてワイナリー Vino della Gatta (ヴィーノ・デッラ・ガッタ)を開設予定。それに伴い夏頃、粉門屋仔猫は駅前のラ・ガッタに移転、1階でパンとワインを販売するお店に進化します。ラガッタは弘幸さんがシェフとなって2階へ。弘幸さんのつくるパテやリエット、ハムなどを挟んだサンドウィッチも登場する予定。ワインに合うこと間違いなしです。

※ 2021年現在、長野駅前のラガッタ1階へ移転しています。パンのテイクアウト専門と、NAGANO WINE、ワインに合う食材、調味料も販売しています。

11:00〜17:00
不定休(毎週日曜日、他)
長野市南石堂町1279-6
090-2175-2020

 

 

小林千鶴さん(左)
長野県飯山市出身。
アパレルから民間企業の経理を経て粉門屋仔猫店長。
仕事の傍ら、趣味ではじめたパンつくりは、10年を経て自分で酵母を培養するほどに。友人に頼まれてはじめたパン教室が評判となり、オーナーの成澤氏に誘われ、パンカフェをはじめる。2018年6月までは現在の場所で営業するが、夏頃、駅前のラ・ガッタ1階に移転予定。

小林春奈さん
気さくな笑顔が素敵なスタッフ。
シフトで粉門屋仔猫ほか、ラ・ガッタにも立っています。

住所

長野市東町207-1 KANEMATSU

現在は移転長野市南石堂町1279-6

電話番号

090-2175-2020

営業時間

11:30-16:30LO 

定休日

日曜日、月曜日ほか不定休

アクセス

長野駅より徒歩20分 

URL

https://www.facebook.com/konamonnyakoneko/

取材・文/坂田雅美  写真/阿部宣彦
2018年04月17日掲載