|信州松本 鶏鍋 炭火料理 トキシラズ|
古き良き松本の趣が残る店で
こだわりの一品に舌鼓を打つ

|信州松本 鶏鍋 炭火料理 トキシラズ|<br>古き良き松本の趣が残る店で<br>こだわりの一品に舌鼓を打つ

「なまこ壁」とよばれる、腰壁が黒と白の格子柄の土蔵が今も並び、古き良き松本の雰囲気を残す商店街、中町。その一角で、1893(明治26)年に造られた蔵を改修し、入り口に大きなえんじ色の暖簾を掛けているのが、鶏鍋と炭火焼料理の店「トキシラズ」です。

全6席のカウンターでは、完全予約制でおまかせコースを。2階のお座敷と離れでは、炭火で鶏の水炊きとすき焼き、鴨鍋と鴨すき、季節の鍋コースを楽しむことができます。

お客様に「夏でもお鍋?」と聞かれることもあるといいますが、店主の山田憲作さんは「炭を囲むと、くつろいだ雰囲気の中で一歩進んだ話ができる。お店を人生の深い話ができる場所にしたい」と考え、一年を通して炭火を使った鍋料理を提供しています。

 

カウンターは6席。完全予約制。7,600円〜のおまかせコースのみ。飲んでいるお酒に合わせて料理の味つけを変える。写真は「ホワイトアスパラのすり流し ウニ乗せ 花穂紫蘇」。21時以降、カウンターが空いていれば、1グラス一品料理〜でもOK
東京、京都、大阪、各地の店をまわって最終的にたどり着いたのが京都風の水炊きをベースに地元の人に好まれるアレンジを加えたもの。鶏鍋のコース(3,600円・4,600円・5,600円)。3,600円のコースは先付け・鶏鍋・雑炊・デザートのセット

信濃毎日新聞の朝刊に連載していたコラム「このワインこの一皿」で、1カ月に1度、長野市のイタリアンレストラン、オステリア・ガットの成澤篤人さんと県下のワイナリーを巡り、そのワイナリーのおすすめワインを1本選び、ワインに合わせた料理を毎月交代で提案してきました。このコラムは2013年4月〜2015年9月まで約2年半、続きました。

「大変だったけど、ワイナリーさんの熱い想いを聞き、その仕事を実際、目にすることができて、とても勉強になりました。ぶどうの栽培技術は昔と比べて格段に上がっているし、ワイナリーさんの醸造技術も上がっている。コストパフォーマンスも良くなってきたなと思います」と山田さん。

シャラン産鴨の炭火焼き。ネギや柚子味噌などを使い、ひと手間加えたお料理がいただける
四季折々の景色を眺めながら、お酒が飲める「ちょい飲み」スペースの縁側。正面は離れの土蔵。5〜8名予約可

また「長野のワインは良い意味で線が細く繊細なので、和食と寄り添いやすい。うちの店で出す料理に合っている」と感じる一方で、「ワインを飲むなら、鶏は白」という固定概念のもとに白ワインを注文されるお客様が多いと感じています。そんな時はあえて「ロゼもすごくいいですよ」とお料理にあわせたワインをお勧めしているのだそう。

鶏鍋を注文されたお客様に安曇野ワイナリーのロゼをすすめたところ、最初から最後までずっとその銘柄で通して、楽しんでいただけたこともあったといいます。

長野県下の老舗ワイナリーから委託醸造しているヴィンヤードまでほとんどを訪ね、厳選したワイン20アイテム以上が常時そろう

料理に合わせてワインを選び、県産ワインの話も伝えながら提案するように心がけているという山田さん。

「地元産の食材を使った料理や、その料理に合うお酒を提供することを通じて、いろいろな食の文化をお客様に紹介することは飲食店としてのひとつの役割だと思っています」と語ります。

料理とお酒の組み合わせを楽しみたいお店ですが、縁側でお酒だけをいただく「ちょい飲み」も大歓迎とのこと。グラスワインは常時、赤白合わせて3銘柄ほど、お店の状況次第では、縁側で食べられるおつまみも用意してくださいます。

春には薄紅色のしだれ桜、夏には池に放たれた鮎、秋にはもみじの葉の赤と緑のコントラスト、冬には雪、と四季折々の表情を見せてくれる中庭を愛でながら、気軽に、そして小粋に、ワインを楽しむことができそうです。

オーナーシェフ
山田 憲作さん
やまだけんさく

1965年岡谷市出身。日大商学部を卒業後、都内企業向けセミナー会社に勤務。両親がカフェレストランを営み、飲食店のビジネスに興味を持っていたため、30歳くらいのときに帰郷し、勉強をはじめる。
季節感を感じる和食の奥深さに魅了され、「炭を使った和食料理を出す店をはじめたい」と、2009年4月に「トキシラズ」を開店。
趣味、出汁の研究。

住所

松本市中央3-4-20

電話番号

0263-36-7559

営業時間

17時30分~22時LO

定休日

水曜日、年末年始、特定休業日

アクセス

松本駅から徒歩15分

URL

http://www.torinabe.net/

取材・文/坂田 雅美  写真/平松マキ
2016年02月17日掲載