|草如庵(そうじょあん)|
季節を映す料理と空間で
山の恵みを堪能

|草如庵(そうじょあん)|<br>季節を映す料理と空間で<br>山の恵みを堪能

旧北御牧村、布引観音ほど近くの岩肌に、牛が角にひっかけた白い布が貼りついたという言い伝えの残る白い岩があります。その「布岩」の下に広がる布下(ぬのした)という集落に、「草如庵」はあります。

養蚕農家だったという築150年ほどの古民家は、無垢材で組まれた意匠の美しい、とても豪壮な造りです。
西側の竹林はそのままに、東側にある葦の池に木橋をかけ、駐車場から母屋をぐるっとまわって入り口へ。かつて農機具置き場だった納屋は待合(まちあい)に。
こうして長らく住む人のなかった建物を改修して懐石料理の店としたのは、山田勉さんと妻の友実さんです。

山田さんは、京都・花背(はなせ)にある摘み草料理で知られる「美山荘」で修業を積み、ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ 美山荘、星のや 軽井沢 メインダイニング 嘉助で料理長を務め、独立します。

調理技術だけでなく、素材となる山野草の見分け方や、山の歩き方まで。
これまでに身につけた知識と経験、技のすべてを生かして、信州の野草や山菜、日本中の四季折々の恵みを雅趣あふれるひと皿に込めて供します。

総ケヤキ、五社造りの見事な神棚のある客室の様子。料理だけでなく、妻の友実さんによるしつらえや、窓外の景色もまた、四季折々の表情を見せる
東御市産のワインが勢ぞろい。「地元のお酒は飲みやすく、和食にも合わせやすいですね」

料理は4,000円、6,000円、8,000円の懐石料理。
先付け、八寸、煮物椀、焼きもの、炊き合わせ、ご飯、水菓子など、6〜8品のコースとなります。
お昼のみの点心は3,000円。揚げ物、和え物、蒸し物などの盛り合わせに、炊き合わせとご飯が続きます。

「春夏は山野草、秋はキノコ、冬はイノシシなど、1年を通じて、なにかしら山のものをお出しできる。それが信州の魅力。こういう食べ方もあるんだよという提案ができれば」と山田さんは語ります。
11月ともなれば、キノコを求めて北信から南信まで、山田さん自らあちこちの山に分け入ります。

春はタケノコ、秋はキノコ。店主自ら山で採取する。
地場のものを中心に、山の恵みがふんだんに盛り込まれ、目にも舌にも季節を楽しめる(写真は2点とも山田さん撮影)

また、東御市には良質なワイナリーがいくつもあるので、せっかくならと、地酒だけでなく地元産のワインもリストに並びます。
近在のワイナリーからワインのつくり手が客として訪れることもあるそうで、「ワインの良さも学んでいるところ」と山田さんは言います。

昼は2組、夜は1組限定。前日までの完全予約制。
予約はなかなか取りづらいですが、季節ごとに訪れたくなるお店です。

 
山田 勉さん
やまだつとむ

昭和44年、三重県四日市市生まれ。摘み草料理で知られる京都・花背にある「美山荘」で修業し、ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ 美山荘(2008年に閉店)、星のや 軽井沢 メインダイニング 嘉助で料理長を務めたのち、2013年、東御市に自身の店「草如庵」を構える。

住所

長野県東御市布下165

電話番号

0268-67-3910

営業時間

ランチ 11時30分〜15時(入店は14時まで)
ディナー 17時30分〜21時(入店は19時30分まで)
※ 前日までの完全予約制

定休日

火曜定休

アクセス

しなの鉄道 滋野駅から徒歩15分、車で5分

URL

http://r.goope.jp/so-jyoan

取材・文/塚田結子  写真/平松マキ
2016年02月10日掲載