Vol.3 仲間とともに「ワイン産地 長野」をつくる

Vol.3 仲間とともに「ワイン産地 長野」をつくる

飲酒運転防止講座

2時限目は、上田警察署と公安委員会の方に、飲酒運転防止の講義をしていただきました。視界の広さと、反応の正確さ、素早さを計測する機械を使って、飲酒前後で測定し、飲酒をするとどのくらい判断力が鈍るのかを学びます。

飲酒前後の比較測定は玉村さんにしていただき、自分は飲酒をしない状態での測定のみ行いました。結果は総合B評価。1万5502人中2336位、ということでまずまずの結果に終わりました。

自転車に乗ったり、歩いて横断歩道をわたるシュミレーションをするなど、ゲーム感覚で学ぶことができ、とても楽しかったのですが、忘れてはいけないのは「アカデミー受講生が飲酒運転をしないのはもちろんのこと、お酒を提供する側の立場としても注意しなければいけない」ということです。

ゲームセンターにあるような、楽しい測定器

お客様がワイナリーを訪ねた時に、ぶどう畑を眺めながら飲むワインは最高ですし、購入前に試飲したい気持ちもよくわかります。それでも、運転者に飲酒は認められていません。

そして、ワイナリーの多くは車で行くことしかできない場所にあります。お客様にワインツーリズムを楽しんでいただくためには、その問題を解決しなければいけません。

ワイナリーの数が増えて、集約されれば旅行会社のツアーも増えてくると思いますし、周遊バスもできるかもしれません。そんな起爆剤になれるよう、アカデミー生が卒業した後、たくさんのワイナリーができるといいですね。

アルカンヴィーニュ代表の玉村さんが挑戦しているところ

ワインに合わせて料理も楽しめる
ワイナリーを目指して

さて、続いてはヴィラデストの醸造責任者でもあり、ここアルカンヴィーニュも担当する小西さんに、ヴィラデストの歴史を踏まえながら、畑と醸造施設を案内していただきました。

エッセイストであり、画家でもある玉村豊男さんが東御に移り住んだのが1991年。その後、紆余曲折を経てのワイナリー建設が2003年。玉村さん自ら飲みたいワインを造りたいと、見晴らしの良い土地に築かれました。

2008年の洞爺湖サミットでは「ヴィニュロンズ・リザーブ シャルドネ 2005」が各国の賓客たちに供され、世界に向けて発信するワイン造りを目指すワイナリーになりました。また、東御市に働きかけ、長野県に先駆けてワイン特区を取得し、東御市にワイナリーが集まるきっかけをつくりました。

玉村さんと小西さんがいなかったら、長野県のワイナリーを取り巻く環境も現在のようになっていなかったのではないでしょうか。

写真中央奥、メガネをかけているのが小西さん

さて、ワイナリーとひとくちにいっても、いろんな形があります。

機械を導入し、工場の施設のようなところで、たくさんのワインを製造しているワイナリーもあれば、自分で栽培して、個人宅のガレージのようなところで醸造し、ラベル貼りまですべて手作業で製造しているワイナリーもあります。

飲食店を経営している自分が目指すワイナリーは、やはりレストランの併設された、ヴィラデストに近い形になるのではないでしょうか。

「景色のいいところがいいなぁ…」
「やっぱりぶどう畑の真ん中かなぁ…」
「実家はもう古いので壊して…」

なんて今のうちから妄想するだけでも楽しいです(笑)。

今、一緒に学んでいるアカデミーの生徒たちも大半がワイナリー設立を目指して勉強しています。個性あふれるワイナリーが増えると、ますます楽しくなるでしょう。

ヴィラデストワイナリーの畑。この近くでヤギも飼っている
モダンな醸造施設。2階がレストランになっていて、ぶどう畑も見える
著者

成澤篤人

シニアソムリエ
1976
年長野県坂城町出身。イタリアンレストラン「オステリア・ガット」ほか長野市内で3店舗を経営。NAGANO WINEを普及するための団体「NAGANO WINE応援団運営委員会」代表。故郷・坂城町にワイナリーをつくるため、2015年春からアルカンヴィーニュ内に設置された日本初の民間ワインアカデミー「千曲川ワインアカデミー」で第1期生として学びます。

日本ワイン農業研究所
アルカンヴィーニュ (ARC-EN-VIGNE)

ARC」は「アーチ(弧)」を意味し、人と人をワインで繋ぐという寓意を込めています。フランス語で虹のことを「アルカンシエルARC-EN-CIEL」(空にかかるアーチ)といいますが、その「空CIEL」を「ブドウVIGNE」に代えて、名づけられました。ブドウ栽培とワイン醸造に関する情報を集積する、地域のワイン農業を支えるワイナリーとして、また、気軽に試飲や見学ができ、ワインとワインづくりについて楽しく学び、語り合うことができる拠点です。

http://jw-arc.co.jp

2015年06月01日掲載