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ワインのつくり手を訪ねて

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高山村vol.24 Cantina Riezo(カンティーナリエゾー)湯本 康之

大自然のなか、生活に根ざしてワインをつくる

両親が移り住んだ高山村へ

Cantina Riezo(カンティーナ・リエゾー)のある高山村は冷涼な気候や日照時間、土壌などの自然条件に恵まれ、良質なぶどうが収穫できる土地として注目されています。

しかし、湯本康之さんにとって高山村は親戚の家があったところ。子どもの頃、ときどきお墓参りにくるだけの場所でした。

「もともとワインをつくりたくて高山村に来たわけではなかったんです」と湯本さんは振り返ります。

湯本さんは新潟県妙高市で生まれ育ちました。その後、都会に憧れ上京。飲食店で働いていましたが、将来を考えたときに都会は自分の生活をする場所ではないと考えるようになりました。

そして両親が定年退職を機に親戚の家と畑を継ぐため移り住んでいた高山村へ2000年にやってきます。

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葉の1枚1枚を丁寧に観察する湯本さん。標高600mの西斜面に60アールのぶどう畑が広がる

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メルローとシャルドネをメインにリリースしている。バルベーラは「まぁ、ちょぼちょぼと」。販売は Cantina Riezo公式ホームページにて行っているが、現在は完売。次のリリースは10月から

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湯本さんご夫婦と元気いっぱいの二人のお兄ちゃん。この翌日、三男 柑太くんが生まれた

流れにまかせてはじめたワインづくり

その年の秋、テレビでサンクゼールの前身である「斑尾高原農場」の収穫体験VTRを見て「面白い会社があるな」と思い、面接を申し込むと「すぐに面接してくれて、社長がその場で『月曜日から来なさい』って言ってくれたんです」

最初は12月のギフト商戦に向けて忙しかったジャムの製造に携わります。ひと段落すると欠員の出ていたワイン製造を手伝うことになります。そこで工場長の池田健二郎さんに「よかったらこのままワインをやってみないか?」と、誘われワインの醸造に携わることになりました。

ワインづくりをひととおり身につけ、やがて自分のワインをつくってみたくなった湯本さんは5年半勤めた後に退社。職場で知り合った奥さんと一緒にイタリアへ半年間の修業旅行に出ます。

イタリアではふらっと立ち寄った小規模ワイナリーの家族経営スタイルに感動し、またある醸造所では2、3日働いただけで信用してもらい『明日出かけるから、これやっといて」という風にいろいろ任せてもらえたのだそう。

帰国すると、今まで隣の畑でりんごをつくっていたおばあさんが高齢のためりんご栽培をやめることになり、畑を借りられるようになりました。湯本さんは「もう少し勉強したかったけど、これはやれってことかな」と、りんごの木を抜いて、自分の家の畑と合わせて1枚の広いぶどう畑をつくりはじめます。

苗木屋にぶどうの苗木の注文をすると、来年の春に頼んだつもりが行き違いで一週間後に1000本届いてしまいます。「これは植えろってことかな」と、土壌改良をしながら植えました。 「決断は自分でしなければならないと言われることがありますけど、無理矢理決めない方が良い時もあるのではないかと思っているんですよね」と、自然の流れに任せて無理せず、飄々としています。

しかし、当初より自分のワイナリーを持つことが夢だった湯本さん。「委託醸造だとワンアイテム一樽分ずつくらいしか作れないし、せっかくつくったぶどうは自分で醸造したい。今まではなるようになってきたけれど、これからが大変ですよね。ワイン醸造のための施設を整備するには資金もいりますし」と、将来を見据えます。

夢は家族経営の小規模ワイナリーを持つこと

60アールの畑には、メルロー、シャルドネ、そして日本では珍しいバルベーラというイタリアで多く栽培されている品種が植えられています。

「今は委託醸造でメルローとシャルドネをメインにリリースしていますが、収穫量が増えたらバルベーラを看板ワインにしたいんです」

そして思い描くのはヨーロッパで見た家族で営む小さなワイナリー。「家族で力を合わせて物を生み出し、それを代価に変えて生活するって、すごくいいと思うんです」

その思いがあってCantina Riezo(カンティーナ・リエゾー)という名前は大切なパートナーである奥さんの「理絵(りえ)」という名前から名づけました。

家の前に広がるぶどう畑に駆け出す二人の男の子。第三子を身ごもりながらも、近所のおばあさんにつくり方を教わったという甘梅と麦茶で私たちをもてなしてくれる理絵さん。(なんと、取材させていただいた翌日に元気な男の子が産まれました。おめでとうございます!)湯本さんが思い描くような家族の未来が、そこに見えるよう。

自宅横には小川が流れ、目の前にはぶどう畑が広がり、はるかには善光寺平を望みます。 「ここにワイナリーを建てて、お客さんに山を眺めながらワインを飲んでもらえたらいいですよね」

「日本で最も美しい村」に加盟している高山村に初のワイナリーができる日も遠くないかもしれません。

 

(取材・文/坂田雅美  撮影/平松マキ)

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自宅横のワイナリー建設予定地を示す湯本さん。眺めがよく、遠くは善光寺平まで望める。「自分はただヨーロッパで見てきたことをやってみたいだけなんです」と、家族経営のワイナリー建設の夢を語る

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湯本 康之(ゆもと やすゆき)

新潟県妙高市出身。東京で飲食店勤務などを経て、2000年に両親が住む高山村に転居。サンクゼールに5年半勤めた後、半年間イタリアへワインづくりの武者修業に出る。2007年、自園でぶどう栽培を開始し、2011年よりCantina Riezo 公式ホームページにてワイン販売をはじめる。

Cantina Riezo (カンティーナリエゾー)

所在地 ヴィンヤードのみ、ワイナリーはありません
TEL 個人宅のため記載は控えます
URL http://www.cantinariezo.jp/index.html

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