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ワインのつくり手を訪ねて

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池田町vol.42 サッポロ安曇野池田ヴィンヤード田中 亘

プレミアムワインのためのぶどう畑、ここにあり

「日本でしか作れないワイン」を目指す
サッポロ・グランポレール

サッポロビールの「グランポレール」は、国産ぶどう100パーセントのプレミアムワインのブランド名です。「日本でしか作れないワイン」を目指して2003年に誕生し、国内外のワインコンクールで数々の受賞歴を重ねてきました。

現在、北海道、長野、山梨、岡山の4つの産地のぶどうからワインを醸造しており、2012年には勝沼ワイナリーがグランポレール専用ワイナリーとしてリニューアルオープンしています。

サッポロビールが創業100周年を期してワイン事業に参入することを決め、ワイン製造免許を取得したのは1974年。その翌年には試験ほ場として、長野古里ぶどう園(3ha)を開園します。

その後30年以上を経て、2009年に安曇野池田ヴィンヤード(12ha)がオープンして、ワイン製造が本格化します。
今、2つのぶどう園の栽培責任者を務めるのが、田中亘さんです。

雄大な北アルプスと安曇野の田園風景をはるかに望む。なだらかな丘陵に広がる広大なぶどう畑の景観は、県内でも数少ない

雄大な北アルプスと安曇野の田園風景をはるかに望む。なだらかな丘陵に広がる広大なぶどう畑の景観は、県内でも数少ない

2010年から3年にわたり苗木を定植。全体の7割を2011年に植樹し、今年、6年生樹になる

2010年から3年にわたり苗木を定植。全体の7割を2011年に植樹し、今年、6年生樹になる

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サッポロのグランポレールブランドのなかでも、最上級のシングルヴィンヤードシリーズのぶどうを栽培している

サッポロのグランポレールブランドのなかでも、最上級のシングルヴィンヤードシリーズのぶどうを栽培している

長野古里ぶどう園では、雨よけや防鳥ネットを用いた施設栽培を行っているが、ここ安曇野池田ぶどう園では、地形・土壌を活かしてできるだけ自然な栽培を行う

長野古里ぶどう園では、雨よけや防鳥ネットを用いた施設栽培を行っているが、ここ安曇野池田ぶどう園では、地形・土壌を活かしてできるだけ自然な栽培を行う

ぶどう栽培の適地を求めて
風に恵まれた広大な畑へ

長野・古里ぶどう園での手応えをもとに「ぶどう栽培の適地を求めてたどり着いた」のが、安曇野池田の12ヘクタールの畑。
標高は古里の約340メートルから池田の約560~610メートルへ、平均気温(4月~10月)は18.6度から18度へ、斜度は平地から東西方向8パーセント・南北方向2パーセントの傾斜地へと、よりぶどう栽培にふさわしい土地です。

「最初は古里と同じ千曲川ワインバレー地域で、冬季に土づくりができるように積雪の少ない土地を探していました。なかなか広い土地がみつからず、日本アルプスワインバレーでも適地を探しました。私自身で何度も土地を吟味して、2年くらいかかったでしょうか。ここ安曇野池田は諸条件が整っていて、特に風通しが素晴らしいんです」

西は急峻な北アルプス、東はなだらかに広がる中山山地に囲まれ、風向きは南北に偏っています。夏の夕方、北アルプスから吹き下ろす北寄りの風によって夜の気温が下がり、1日の寒暖差が大きく、良質なぶどうを育みます。
また、午後からは平坦地から東山(安曇野の東側に連なる丘陵)へ風が吹き上がり、1年を通して風通しのいい場所です。

「風通しがいいというのは、ぶどうの生育にとって重要です。それだけ病害虫が出にくく、健康なぶどうが育ちます。風に恵まれているから、湿度が高いと発生しやすいベト病はほとんど出ておりませんね」

また、畑の上部には山林が残されて保水力が高く、なだらかに傾斜する畑は礫(れき、小石)が多く、水はけ良好。
しかももともと桑畑だったので、過剰に養分を加えられていない、ぶどうにふさわしい土壌です。

ただ、ひとつだけ気になることがありました。広大な畑に部分的に粘土質の場所があり、水はけが課題でした。
そこで、このオフシーズンに大規模な暗きょ工事を敢行。地下60センチのところに、全長2.1キロに及ぶ排水パイプを埋設しました。
「今シーズンのぶどうの生育は、目に見えてよくなりました。日照りが続いても負けないほどに深く根を張り、品質的にもより期待できます」

シラーやピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブランで
日本ワインの新たな可能性を

「こんなに早く国産ワインが注目される時代が来るとは思いませんでした」と感慨深げな田中さんは、もともと発酵を学び、入社後、醸造に携わってきました。
まだ、国産ぶどうは重視されず、バルク買いした材料をブレンドするのがワイン造りと思われていた時代です。
40歳代に差し掛かるころ、「ワインの品質の7~8割を決めるのはぶどう」という思いから、自ら手を挙げて栽培部門へ移りました。
時代の変化に押されるように、原料ぶどうの質が重視され、国産ぶどう100パーセントのワインが人気を集めるようになります。

長野古里ぶどう園では、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シャルドネなど欧州系ぶどうが栽培され、特に「リースリングは貴腐化することで、同園の伝統と特徴がよく生かされていて、自慢の品です」

安曇野池田ヴィンヤードでは、メルロー、シャルドネなど欧州系6品種が栽培されています。
「7割ほどの木が6年生樹となり、果実のアミノ酸値が上がってリッチになってきました。これからさらに味わいが乗ってきます」

田中さんが力を入れているのは、世界的に人気が高く、日本では栽培が比較的難しいシラー、ピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブランの3品種です。
ぶどう栽培の適地といえるこの土地で、ぶどうの個性を引き出し、日本ワインの新たな可能性を広げていきたいと意気込んでいます。

(取材・文/平尾朋子  写真/平松マキ)

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グランポレールのシングルヴィンヤードワイン。左から安曇野池田ヴィンヤードのメリタージュ、ソーヴィニヨン・ブラン、長野古里ヴィンヤードのカベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ

グランポレールのシングルヴィンヤードワイン。左から安曇野池田ヴィンヤードのメリタージュ、ソーヴィニヨン・ブラン、長野古里ヴィンヤードのカベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ

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田中 亘(たなか わたる)

1958年、山梨県富士川町(旧増穂町)出身。1982年、山梨大学工学部発酵生産学科卒。国税庁醸造試験場研修修了。サッポロワイン(後にサッポロビールに吸収合併)入社後、岡山や勝沼のワイナリーで醸造に携わる。40歳代になって自ら栽培を志し、長野古里ぶどう園を経て、2009年開園の安曇野池田ヴィンヤードに用地選択から関わる。2つのぶどう園の栽培責任者であり、サッポロ安曇野池田ヴィンヤード株式会社取締役。個人的な好みは「和食によく合うソーヴィニヨン・ブラン」

サッポロ安曇野池田ヴィンヤード

所在地 サッポロ安曇野池田ヴィンヤード:長野県北安曇郡池田町中鵜、サッポロ長野古里ぶどう園:長野県長野市富竹
TEL 026-224-6211(サッポロビール株式会社 関信越本部長野支社)
URL http://www.sapporobeer.jp/wine/gp/prestige/

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