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2016.03.09しあわせ信州食品開発センターの研究試験醸造

しあわせ信州食品開発センターでは2015年度、研究試験醸造が行われ、2016年3月3日には関係者を集めての報告会が行われました(上の写真は、醸造に参加したぶどう生産者農家と、彼らを支えた東御市の方など)。

「しあわせ信州食品開発センター」は、信州ブランドを担う食品の商品企画、試作、評価、商品化までを支援するため、2015(平成27)年4月に長野県工業技術総合センター食品技術部門に開設されました。

ワイン醸造に関しては、これまで10ℓ程度の小規模な試験醸造が可能な程度でしたが、除梗機、最大130ℓまで処理できるワイン搾汁機、液温調整が可能な仕込みタンクなどが導入され、本格的な醸造が可能となりました。

これらの機材を用いて、同センターでは2015年度、ワインの試験醸造を行いました。この取り組みに、東御市でぶどうを栽培する2組の農家が参加し、同センター食品バイオ部の高橋祐樹さんが中心となり、さらに前 山梨大学教授の飯村穰さんがスーパーバイザーとして加わりました。

ぶどう栽培農家の池 敬絃(としひろ)さんはソーヴィニヨン・ブランを。飯島規之(のりゆき)さん、祐子さん夫妻はシャルドネ、ピノ・ノワール、メルロー、アルモノワールを。
双方とも2015年が初収穫となるぶどうで、収穫から仕込み、醸造管理、ビン詰めまで、ワイン製造のひととおりに携わりました。

池さんと飯島規之さんは、2013(平成25)年に県が開催した「ワイン生産者アカデミー」や「醸造講習会」を受講しており、栽培や醸造技術の講義を受けてはいましたが、実際の醸造ははじめてのこと。

試験醸造に参加したぶどう栽培農家の池 敬絃さん(左)、飯島規之さんと祐子さん夫妻

試験醸造に参加したぶどう栽培農家の池 敬絃さん(左)、飯島規之さんと祐子さん夫妻

池さんが栽培したソーヴィニヨン・ブランからできたワイン。「若木ゆえ凝縮感に欠けるが、将来性が感じられる」との評価も

池さんが栽培したソーヴィニヨン・ブランからできたワイン。「若木ゆえ凝縮感に欠けるが、将来性が感じられる」との評価も

新設されたテイスティング棟2階のテイスティングルームが会場となった。水洗式の吐器が完備されている

新設されたテイスティング棟2階のテイスティングルームが会場となった。水洗式の吐器が完備されている

アルモノワールは、山梨県果樹試験場が開発した赤ワイン専用品種。 カベルネ・ソーヴィニヨンとツヴァイゲルトレーベを交雑して育成された

アルモノワールは、山梨県果樹試験場が開発した赤ワイン専用品種。 カベルネ・ソーヴィニヨンとツヴァイゲルトレーベを交雑して育成された

ワイン試験醸造報告会で池さんは「ワイン製造をひとおり経験することで、これまで学んだことが血肉となり、生きた知識になった」と語りました。

ぶどう5品種のうちソーヴィニヨン・ブランとシャルドネは酵母のみで主発酵を行い、一部のシャルドネ、ピノ・ノワール、メルロー、アルモノワールについてはさらに乳酸菌スターターを用いてマロラクティック発酵(MFL)も行いました。

報告会では、招待を受けた来場者ができあがった6種のワインのテイスティングを行いましたが、「ソーヴィニヨン・ブランが良かった」「MFLありのシャルドネのバランスが良い」「アルモノワールに可能性を感じた」など、感想はそれぞれ。

試験醸造の中心となった高橋さんは「東御市産ぶどうの個性を引き出すために品種ごとに作成した醸造プランに則って、一定以上の品質を有するワインが製造できた」と総括しました。

テイスティングに続いて行われた意見交換会では、東御市から駆けつけた農家の方や行政担当者が次々とお祝いの言葉を述べ、会場はあたたかな雰囲気に包まれました。

「飯島さんは新規就農者としてお手本のような人」と東御市のベテラン農家、柳澤幹夫さんが述べ、ぶどう栽培に取り組む農家の真摯な姿が地元の信頼を集め、やがて農地の集積につながること。県の支援が行き届く前提として、個々の地域での取り組みが欠かせないことを示しました。

 

  

今回の取り組みはあくまでも試験目的の醸造であり、原料用ぶどうを持ち込んでワイン醸造を委託できるわけではありません。

工業技術総合センター 食品技術部門 食品バイオ部 026-227-3131