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ワイナリーへの道 ~アルカンヴィーニュからはじまる物語~

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Vol.8 ブドウの敵と戦うために

良いワインは、良いブドウから

ワインメーカーがよく「良いワインは、良いブドウから」と言うように、良いワインを造るためには原料となるブドウを健全な状態で収穫することが大切です。
しかし、栽培していくなかで「細菌」「ウイルス」「害虫」「害獣」「自然災害」といった、さまざまな敵から攻撃を受ける危険があります。

今回の講義は、長野県果樹試験場環境部・近藤賢一さんに「ブドウの病害の発生生態と防除」を、同・金子政夫さんに「ブドウの病害虫について」を、長野県農政部農業技術課・中澤徹守さんに「慣行防除の考え方 基礎」と「野生鳥獣の生態と被害対策」をお話いただきました。

日本は梅雨や秋雨があり、温暖湿潤なので、細菌(カビ)による被害が多いそうです。
そのなかでも「ベト病」が最も多く、次いで「ウドンコ病」「晩腐病(おそぐされびょう)」などがあります。

害虫では「コウモリガ」「スカシバ」「カイガラムシ」などがいます。

これらの敵から、どのようにしてブドウを守ればよいのでしょう。

 大切なのは、正しい時期に防除することにより、病気や虫の出ない環境を作ること。 そうすることにより、極力農薬を少なくし、ブドウにとっても人間にとっても良い状態で収穫できるそうです。

害虫のクビアカスカシバ

害虫のクビアカスカシバ

カイガラムシが入ってしまった木の根

カイガラムシが入ってしまった木の根

可愛らしい顔だが、畑を荒らす困り者ハクビシン

可愛らしい顔だが、畑を荒らす困り者ハクビシン

かっこいいスピードスプレイヤー

かっこいいスピードスプレイヤー

増えすぎてしまった獣たち

害獣では「シカ」「イノシシ」「ハクビシン」などがいます。
害獣についてはさらに面白いことをお聞きしました。

最近、人間が住んでいる街に山から獣が下りてくることをよくニュースで耳にします。 2012年には長野市の中心市街地にツキノワグマが現れたなんてこともありました。

江戸時代後半~明治・大正は狩猟の全盛期であり、加えて必要以上に森林伐採をしたことで獣の住処がなくなり、絶滅寸前まで減少したそうですが、戦後からの動物保護活動や狩猟の衰退などにより獣の数が増えていきました。
と、いっても長い日本の歴史において、たまたま獣がいない時期を経て、元に戻っていっただけのようです。

しかし昭和60年以降は獣が人の暮らしをおびやかすまでに増えてしまい、ブドウ畑でも、植えたばかりの苗や新芽を害獣に食べられてしまう被害が多くなってきました。 生徒の畑もかなりシカの食害にやられているそうです。

 

そのほかに、人間の手ではどうすることもできないのが自然災害です。

台風が発生しやすい9月・10月は、ちょうどブドウの収穫がはじまる時季です。それまで天候に恵まれ、良いブドウに生育していても、最後に台風で実が痛んでしまったら悲しいですよね…。
また、長野県は寒いので雪害・凍害があり、東御市近辺は雹の被害もあります。

しかし相手が自然ではどうしようもありません。 良い年もあれば、悪い年もあります。ワインの出来にも影響してきますが、それも面白いところのひとつですね。

次の時間は実際に畑に行って、アルカンヴィーニュスタッフの和田耕太郎さんから「スピードスプレーヤー」、通称SSと呼ばれる薬剤噴霧機や、草刈りを行う「乗用モア」や「ビーバー」などの農機具の取扱いを学びました。

丹精込めて育てたブドウが、〝敵〟にやられず健全に収穫できるよう、しっかり学習して対策をとっていきたいと思います。

  

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著者成澤篤人

シニアソムリエ
1976年長野県坂城町出身。イタリアンレストラン「オステリア・ガット」ほか長野市内で3店舗を経営。NAGANO WINEを普及するための団体「NAGANO WINE応援団運営委員会」代表。故郷・坂城町にワイナリーをつくるため、2015年春からアルカンヴィーニュ内に設置された日本初の民間ワインアカデミー「千曲川ワインアカデミー」で第1期生として学びます。

日本ワイン農業研究所
アルカンヴィーニュ (ARC-EN-VIGNE)

「ARC」は「アーチ(弧)」を意味し、人と人をワインで繋ぐという寓意を込めています。フランス語で虹のことを「アルカンシエルARC-EN-CIEL」(空にかかるアーチ)といいますが、その「空CIEL」を「ブドウVIGNE」に代えて、名づけられました。ブドウ栽培とワイン醸造に関する情報を集積する、地域のワイン農業を支えるワイナリーとして、また、気軽に試飲や見学ができ、ワインとワインづくりについて楽しく学び、語り合うことができる拠点です。

http://jw-arc.co.jp