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ワインと器

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Vol.2 角居康宏さん金属造形作家/長野市在住

ワインの味わいもまろやかにする錫の器は
おいしくて、楽しい食卓を演出します

端整な表情で食卓を引き締める錫(すず)の食器をつくるのは、金属造形作家の角居康宏さん。金属特有の匂いがなく、お酒などをまろやかにするという錫は、角居さんの食器づくりに欠かせない金属です。

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赤ワインのグラス。柄や足のデザインはオーダーできる

ボウルが錫、足が真鍮でできたワイングラスにも、錫の特性がよく表れています。通常のグラスはカーブの角度や口径の大きさなどで味わいが変わるのに対して、錫のワイングラスは形以前に錫という素材が、まるでワインを長時間空気に触れさせたように味わいを変えるのです。

その劇的な変化は、ソムリエからも高い評価を受けたそうです。ほかにも、錫には熱伝導率が高く温かさや冷たさを持続しやすいという特性もあります。その特性を生かしてつくった角居さんのワインクーラーは、国内のレストランで活躍しています。

「次は、デキャンタをつくってみたら面白いと思うんです。それから色がよく映える白ワイン用のグラスは、もっとつくっていきたいですね」

錫の器は日本でも古くから茶壺などに使われてきましたが、現代の日常の暮らしの中で器として使われる機会は、まだ少ないかもしれません。

「錫と銅が原材料の青銅も、錫も、食器の起源に近く古くから使われてきたものですから、現代の食卓にも、もっとあっていい。それは、僕の制作テーマである“始まり”にもつながるような気がするんです。それに、錫の食器はお酒をまろやかにすることなど話題も生んでくれるので、食卓をおいしく、楽しくしてくれますよね」

恩師や先輩から教わった「おいしいものや、おいしい食卓を囲む楽しさ」を、まわりの人とも共有したいという角居さんの工房には、いつも多くの人が集まり、角居さんが腕を振るう食卓を囲んでいます。

そこにはもちろん、錫の酒器が。錫の特性を十分に熟知することはもちろん、こうした日々の食卓を積み重ねて使い心地を確かめながら、角居さんの錫の食器は生まれています。

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錫の特性を生かした暮らしの道具たち

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「人と触れ合うこと、そして金属が好きなんです」

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錫に入れられる模様は22種類。好みの模様を選べる

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表面に柄を入れたお手製の銅槌で模様を付けていく

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1階のギャラリー。ビルを自ら改修し2階を住居、3階を工房に

角居 康宏(すみい やすひろ)

金属造形作家。1968年金沢市生まれ。Gallery & Factory 原風舎主宰。1993年、金沢美術工芸大学美術工芸学部産業美術学科工芸デザイン専攻を卒業。錫で食器、インテリア・エクステリアなどのクラフトワークを、アルミでアートワークを手がける。クラフトワークでは酒器などの定番商品のほかオーダーによる制作も可能。アートワークでは火によって金属が融ける姿に始原を感じたことから「始まり」をテーマに制作。伊勢丹新宿店ほか、全国各地で個展・グループ展を開催。2011年に長野市の善光寺門前に工房兼ギャラリーと住まいを移す。

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作品を購入できる場所
「Gallery & Factory 原風舎」
住所:長野市鶴賀田町2410
電話:026-217-0194
http://www.yasuhiro-sumii.com